各賞等のご紹介
小島三郎記念文化賞について
本賞は、元・国立予防衛生研究所(現・国立感染症研究所)所長 故小島三郎博士のご遺徳を永く記念すべく1965年(昭和40年)4月に設置された小島三郎記念会(後に小島・福見記念会に改称)の記念事業として創設され、故小島三郎博士が広く関係を持たれていた病原微生物学、感染症学、公衆衛生学、その他これらに関連した領域において学問的に顕著な業績を挙げ、かつ我が国の文化に貢献したと思われる研究者に対し贈呈されております。
記念トロフィー制作者のことば
このトロフィーの制作依頼を受け、最初に考えたのは素材のことである。
幸い自分の作品のテーマが「自然」をモチーフにし、様々な材料の組み合わせによって抽象的表現したものなので、今回の小島三郎記念文化賞のテーマには取り組みやすかったが、制作材料の決定には、かなりの時間を要した。結局、権威ある功労者に贈られるにふさわしい高級感と重量感を持ち、さらに新鮮さを感じてもらうためにガラスを選択した。
この作品のテーマは「進歩と発展」である。
有機体であり細胞の集まりであると共に、生命体に最も密接な「水」のイメージを造形化し流れる水の断片に歴史や進歩の象徴である船のイメージを構成することで、造形的美しさと今後の発展性を表現した。また細胞の核のようなイメージとして小島三郎先生のレリーフを中心に埋め込むことで、この賞の権威を協調している。
この作品が小島三郎記念文化賞に恥じることのない芸術性を持ったものに出来上がったものと私は信じている。
(彫刻家 西村 潤)
平成11年(1999)10月
小島三郎記念技術賞について
本賞は、元・国立予防衛生研究所(現・国立感染症研究所)所長 故小島三郎博士のご遺徳を永く記念すべく1965年(昭和40年)4月に設置された小島三郎記念会(後に小島・福見記念会に改称)の記念事業として創設され、臨床ならびに衛生検査領域において、優れた検査方法・術式の考案改良を行い、検査技術の普及発展に功績のあった技術者に贈呈されております。
記念盾制作者のことば
医学・薬学・芸術の部門について考えてみるに、その文献は人類発生の昔より地球上の各地にその足跡を残しているので、特に新しく議論されるものでは無いと人によっては謂われるかも知れぬが、このような乱世と謂う可きか、あるいは末法の世と謂うか、その時として如何にも面白くない今日、このような佳話・佳行をされる諸腎の心に深く感動し、良き行為は幾度繰りかえされるとて大いに意義深く、この顕彰の意義ある記念盾を制作する策を引受けて誠に光栄と思い、入念に考えて、その具体的に何を創作すべきか考えた次第である。
医学者・薬学者、とくに今回の顕彰の対象となる衛生検査・臨床検査には種々の分野に奥深い層を思い、簡単にはいくものではなく、熟考の末、小生は小生なりのものの考え方を赦していただく事とし、先ず第1に浮かんできたギリシャ神話をとりあげて、有徳の半獣半人の医学神ケンタウロスの事材を制作する事とし、故大彫刻家ロダンのケンタウロスや、その弟子、故ブルーデルの作品を参考とし、小生なりのケンタウロスとヒトキントスとの構成を考えて制作。諸々の有徳の学者の思いを一触ずつ付け加え、最後に検査に関係深いレーベンフックの顕微鏡を持たせることにしたのであるが、これは、考え見れば神話時代より近代に至るいっさいの歴史的考えのみならず、休まず、怠らず、真摯な研究者の善意の総合であるならば制作は至って真面目に行われたと思っている。
作の具象的な表現は、小生日々、芸術は大衆のものであると謂う信念から、具象的に表現すればたちどころにクラシック臭くなり、近代性がなくなり、そこに苦労があって少しでも近代味をもりこめる点、如何。理解して欲しく思っているところである。
(第一美術協会委員 新関国臣)
昭和41年(1966)9月
福見秀雄賞について
本賞は、1980年(昭和55年)小島三郎記念技術賞の創設15周年を記念して、小島三郎記念技術特別賞(福見秀雄賞)を創設、1983年(昭和58年)5月に「福見秀雄賞」と改称し、臨床検査・衛生検査領域に半生を捧げ、技術の開発、向上に努力し、かつ後進の指導育成に貢献のあった技術者に贈呈されております。
福見秀雄賞・記念メダルの由来
小島・福見記念会が技術賞制定15周年を記念して、5年ごとに特別賞を授与することになり、それを小島三郎記念技術特別賞(福見秀雄賞)とした。さらに、1983年5月より、毎年1回授与することになり、名称も福見秀雄賞と改称された。福見秀雄博士は小島三郎先生の高弟で、国立予防衛生研究所の部長、副所長、所長を歴任され、たまたま特別賞制定の年に所長を退官された。これを機会に、先生の永らく衛生検査、臨床検査領域の発展に尽くされた功績を記念し、「福見秀雄賞」と名付けられた次第である。そこで、小島、福見両先生の肖像を刻んだメダルが本賞の象徴として作成された。
(デザイン:クリエイティブアート・ななご
制作:アドスタッフ)
昭和55年(1980)5月
その後、1989年に至り、本賞のさらに一層の発展を期して記念メダルの改定が行われ、第8回福見秀雄賞より新たにデザインされたメダルを贈呈することにした。
(デザイン:中谷瑞穂 制作:アド・スタッフ)
平成元年(1989)5月
研究助成金について
本研究助成金は、1993年(平成5年)6月の本財団設立に際して、これまでの小島・福見記念会の事業に新たに加えられた研究助成事業で、医学関連及びその他の教育機関、研究所、医療機関において、臨床検査、衛生検査及びこれらに係る基礎医学に関する調査ならびに研究を行っている若手の研究者を対象に、より優れた学術研究、業績テーマに対して贈呈されております。