小島三郎記念文化賞・研究助成金
2010年度
第46回小島三郎記念文化賞並びに第18回研究助成金の贈呈式が平成22年10月22日(金)午前11時より、東京會舘において開催されました。
小島三郎記念文化賞の受賞者は、京都大学 ウイルス研究所教授の藤田尚志氏。
受賞のテーマは「細胞質ウイルスセンサーRIG-I(リグ-アイ)ファミリーの発見」で、永年遺伝子発現プロファイルの研究に取り組まれ、発現スクリーニングの方法により、細胞質で増殖するウイルスの産物である二重鎖RNAのセンサーでありインターフェロンの誘導に関わる遺伝子として、RIG-Iを発見されました。
また、同時にRIG-Iに類似した別の二つの分子(MDA5とLGP2)があることも報告され、現在これらを併せRIG-I-like Receptors(RLR)と呼ばれて、大阪大学との共同研究でこれらの分子が生体レベルでのウイルスに対する自然免疫反応に重要である事を発見され、特にRIG-IとMDA5は異なる種類のウイルスを特異的に認識することを見いだされました。これらに関する論文は、現在まで世界中の研究者に1,000回以上引用され、この研究実績が国際的にも高く評価され受賞の対象になりました。
贈呈式は、当財団中谷林太郎理事長の開会の挨拶で始まり、続いて同理事長より小島三郎記念文化賞の選考経過が報告されました。
今回推薦された小島三郎記念文化賞候補の業績は全部で5件(ウイルスに関する業績が1件、感染症および免疫関連の業績が4件)で、何れも極めてレベルの高いものであり、厳正審査の結果、藤田尚志氏を受賞者に決定した旨の選考経過報告があり、同氏に賞状と記念トロフィー、副賞が贈呈されました。
贈呈式風景
また、藤田尚志氏を推薦された京都大学 ウイルス研究所 所長の松岡雅雄氏より推薦のお言葉をいただき、同氏の業績を紹介していただきました。
研究助成金は13名の先生方に贈呈されました。研究助成金の選考経過については、選考委員長である当財団河合忠理事より本年度の申請応募件数158件に対する選考委員会での審査・選考方法について、当財団が公益財団法人として認定されて初めの受賞であり、それを機会に今回から募集要項と選考方法の一部変更したことの詳細な説明の後、厳正審査の結果13名に研究助成金を贈呈する事に決定した旨の報告があり、中谷理事長より受贈者に研究助成金総額1,010万円が贈呈されました。
中谷林太郎理事長 挨拶
小島三郎記念文化賞受賞者
小島三郎記念文化賞を受賞された藤田尚志氏は「本日は、審査委員の先生方をはじめ、関係者の皆様に厚く御礼申し上げる。永年、インターフェロンの研究を続けることができ、多くの素晴らしい恩師、研究仲間、サポートに恵まれたことが大変重要で幸せなことだと思っている。早稲田大学の三年生のときに、国立予防衛生研究所から非常勤講師として来られていた河野晴也先生の人柄と、非常に斬新なインターフェロン、そしてウイルスのお話に興味を持ち、ずっとこの道を歩んできた。興味を持ち続けるということは非常に重要なことで、これからも新しい発見を求めてさらにインターフェロンの研究を続けていきたいと考えている。」と感謝の言葉と今後の抱負を述べられました。
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研究助成金を受けられた先生方
研究助成金受贈者を代表して九州大学大学院医学研究院臨床検査医学准教授内海健氏より「本日、研究助成金をいただいた受贈者を代表して一言お礼の言葉を述べさせていただきたい。私は永年癌の多剤耐性について研究してきたが、4年前より臨床検査に携わるようになり“癌とミトコンドリアの関係”について新しい研究が出来ないかと考え、この研究をスタートした。昨今事業仕分けとかがあり、研究費獲得が非常に厳しい中で、多数の応募者の中から我々の研究成果が評価されたということは非常に嬉しく感じている。今後とも、諸先生方のご指導ご鞭撻をよろしくお願いしたい。」と受賞の喜びと今後の抱負を述べられました。
(左より)生田和史、伊豫田淳、植田光晴、内海健、金子誠、久保亨(前列)
笹田哲朗、佐藤保則、西山博之、松島晶、三島清司、吉田朋美の各氏(後列) の各氏
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最後に当財団黒住忠夫常務理事より閉会の挨拶があり、藤田尚志氏に対しては「本日の受賞を契機に、更に先生の研究が発展されることを心からお祈りしている。」、また研究助成金受贈者には「この研究助成金を有効に使っていただき、先生方の研究がさらに進展されることを期待している。今後、この研究助成金を受けられた方の中から、小島三郎記念文化賞の受賞者が現れることを、心待ちにしている。」と述べられました。
黒住忠夫常務理事 閉会の挨拶
引続き、受賞の先生方を囲んでの祝賀会に移り、当財団の石井暢理事より 「藤田先生、そして研究助成金を受けられた先生方に心からお祝い申し上げる。藤田先生には、ますますご活躍され、後輩を大いに指導していただきたい。助成金を受けられた先生方には、更に研究を発展させてわが国の医療界に貢献していただきたい。」とのお祝いの言葉と乾杯で始まり、盛会のうちに散会となりました。
(事務局 佐藤 貴司)
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