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2021年度 第57回小島三郎記念文化賞・第29回研究助成金
並びに第56回小島三郎記念技術賞・第40回福見秀雄賞贈呈式

2021年度

 10月29日(金)午後1時30分より、東京會舘(東京千代田区)において「第57回小島三郎記念文化賞・第29回研究助成金」の贈呈式と本年度も新型コロナウイルス感染症の蔓延により延期されていました「第56回小島三郎記念技術賞・第40回福見秀雄賞」の贈呈式と併せて開催いたしました。また、祝賀会は実施せず、出席者も受賞者と本財団役員のみでの式典という簡素なものとなりました。

式典会場 渡邉治雄理事長 挨拶

 式典は、渡邉治雄理事長の開会の挨拶で始まり、続いて同理事長により小島三郎記念文化賞の選考経過が報告されました。今回推薦された小島三郎記念文化賞候補の業績は、何れも極めてレベルの高いものであり、厳正審査の結果、松岡雅雄氏(熊本大学大学院生命科学研究部 血液・膠原病・感染症内科学講座 教授)を受賞者に決定した旨の選考経過報告があり、同氏に賞状と記念トロフィー、副賞が贈呈されました。

松岡雅雄氏ご夫妻

 また、松岡氏を推薦された熊本大学大学院生命科学研究部の山縣和也研究部長が所用で欠席のため、推薦の言葉を司会が代読させていただきました。 受賞された松岡氏からは「この様な名誉ある小島三郎記念文化賞をいただき、心から御礼申し上げる。今回、小島三郎先生の経歴を拝見し、先生が臨床からコレラ、インフルエンザ、赤痢等、様々な病原体に対する研究で素晴らしい成果を挙げ、かつ臨床応用までされたと知り非常に深い感銘を受けた。2010年に京都大学ウイルス研究所の藤田尚志先生がこの賞を受賞された時、私は推薦文を読む方におり、その時この様な賞が頂けることは素晴らしことだと感じていたが、まさに今年この賞を頂けたことはとても嬉しく思い感激している。今後は、更にこの成人T細胞白血病(ATL)の治療成績を向上させる研究成果と臨床応用を図っていきたいと決意を新たにした。」と受賞の喜びと今後の抱負を述べられました。

続いて研究助成金の贈呈に移り、選考経過について宮地勇人選考委員長より、申請応募件数201件に対する選考委員会での審査・選考にて、厳正審査の結果、特に優れた18名に決定された旨の報告がなされた後、渡邉理事長より総額1,530万円の研究助成金が贈呈されました。

研究助成金 : (前列左より、板持雅恵氏、遠海重裕氏、太田賢治氏、柏倉裕志氏、佐藤勇樹氏、 下島圭子氏
後列左より、鳥光徳氏、野上彩子氏、林大久生氏、文室知之氏、吉田幸祐氏、 若江亨祥氏)

宮地勇人選考委員長 研究助成金選考経過説明 遠海重裕氏 助成金受贈者代表挨拶

 贈呈後、研究助成金受贈者を代表して挨拶された遠海重裕氏(帝京大学医学部小児科 助教)は、「研究助成金を頂きました18名を代表して、黒住医学研究振興財団の渡邉理事長をはじめ、関係者の皆様に厚く御礼申し上げる。今回、私と共に受贈された先生方の研究内容は、臨床検査分野における基礎から疫学まで幅広い内容になっている。各研究の内容を選考委員の皆様には高く評価して頂いたものと感じると同時に、期待された結果を出せるものと真摯に課題に取り組んでいきたいと身の引き締まる思いである。今回の受贈を糧に研究に一層精進し、臨床及び公衆衛生検査の発展に貢献して参りたい。」と受賞の喜びと今後の抱負を述べられました。

 次に、水口國雄選考委員長より小島三郎記念技術賞の選考経過報告が、また、猪狩淳選考委員長より福見秀雄賞の選考経過報告がなされ、受賞された各氏に賞状、記念品(小島三郎記念技術賞:記念盾、福見秀雄賞:記念メダル)及び副賞が贈呈されました。

水口國雄選考委員長 小島三郎記念技術賞選考経過説明 猪狩淳選考委員長 福見秀雄賞選考経過説明

小島三郎記念技術賞受賞者 : (左より、佐野成雄氏、中川央充氏、樋口由美子氏、山西八郎氏)

福見秀雄賞受賞者 : (左より、雨宮憲彦氏、岩井宗男氏、中山茂氏)

 贈呈後、小島三郎記念技術賞受賞者を代表して山西八郎氏(天理医療大学医療学部臨床検査学科 教授)が挨拶され、「昭和41年に創設された小島三郎記念技術賞の歴代受賞者の先生方の業績を拝見すると、まさに日本における、あるいは世界におけるといっても過言ではない臨床検査の進化と発展の歴史を読み返しているような思いを持った。私共4名が、この伝統と歴史ある賞に名を刻めたことは、この上ない名誉と喜びであると同時に、本賞のレガシーを伝え、そして本賞に恥じぬ自分を持ち続ける責任を負ったことに身の引き締まる思いである。今回の受賞者の先生方は、これからも業績を積み上げていかれることと思うが、後進を育て、環境を整え、チャンスを提供することが、本賞に恥じない自分を持ち続けることにつながるものと考えており、今後も研鑽を重ねていく所存である。」と受賞の喜びと今後の思いを述べられました。

 また、福見秀雄賞受賞者を代表して挨拶された雨宮憲彦氏(前 山梨大学医学部附属病院検査部 副検査部長兼臨床検査技師長)は「この度は臨床検査技師にとり、名誉ある福見秀雄賞を受賞することができ、受賞者4名を代表して黒住医学研究振興財団関係者、推薦をいただいた先生、恩師、上司、同僚、部下、家族にお礼を申し上げる。私は臨床検査技師としての41年間の前半は血液検査学で技術開発および病態診断の研究と山梨県臨床検査技師会で啓発活動を行い、後半は日本臨床衛生検査技師会や日本検査血液学会の発展と後進の育成に努めてきた。一方、検査室以外のライフワークとして、10年前から災害医療支援活動に携わっており、災害派遣医療チーム(DMAT)のロジスティック隊員にもなり、DMAT・技能維持研修、自衛隊との防災合同訓練、トリアージ訓練などで技術を磨いてきた。貴重な活動経験で得た技術や知識を、これからDMAT隊員を目指す臨床検査技師に伝えていければと思っている。近年の臨床検査業界では、業務拡大を推進するとともに、国際規格IS0 15189認定制度の普及や、他部署との連携を深めるチーム医療の参画がますます重要になっているが、今後も微力ながら後進の指導・育成に尽力する所存である。」と受賞の喜びと今後の思いを述べられました。

山西八郎氏 技術賞受賞者代表挨拶 雨宮憲彦氏 福見賞受賞者代表挨拶

 その後、松岡雅雄氏による受賞テーマの「ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)の病原性発現機構の解明」についての受賞記念講演がありました。講演内容はHTLV-1というものが二つの異なる疾患を起こし、一つは、癌(成人T細胞白血病)で、もう一つは、炎症性疾患であり、なぜこのウイルスがその様な病気を起こすのかという感染機構に興味を持った。永年行なってきた研究から、成人T細胞白血病(ATL)細胞におけるTax発現、HTLV-Tは血液幹細胞に感染すること、HBZの重要性、Taxの一過性の発現などの成果を丁寧にお話しいただきました。

松岡雅雄氏 文化賞受賞記念講演

 贈呈式の閉会にあたり、寺本哲也常務理事より受賞者並びにご家族の方々へのお祝いのことばが述べられ、「受賞された先生方の平素のご努力が高く評価されて本日の受賞という結果になったわけである。この受賞を契機に先生方の研究、活動が更に発展され、医療に貢献されることを心よりお祈り申し上げる。また、研究助成金をお受けになられた18名の先生方は、多くの申請件数の中から選考され、先生方の研究が高く評価された。この研究助成金を有効に活用し、さらに研究が進展することを期待している。」と挨拶がありました。

寺本哲也常務理事 閉会の挨拶

 今回の受賞者は小島三郎記念文化賞1名、小島三郎記念技術賞4名、福見秀雄賞4名、研究助成金18名の方でありました。新型コロナウイルス感染症の影響で、緊急事態宣言が解除になったとはいえ、東京への出張が所属施設より許可がおりない方もおり、福見秀雄賞で1名、研究助成金では6名の欠席者となり祝賀会も開催できませんでしたが、出席した受賞者の先生方が心から喜ばれていたことが印象的でした。 新型コロナウイルスの感染拡大が早期に終息することを祈り、来年度は皆様方全員がご出席されることを心より願っております。

(事務局 小澤 宏和)

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