小島三郎記念技術賞・福見秀雄賞
2008年度
第43回小島三郎記念技術賞並びに第27回福見秀雄賞贈呈式が5月23日(金)午後2時より、野口英世記念会館にて開催されました。
式典は中谷林太郎財団理事長の開会の挨拶で始まり、同理事長より選考経過の報告がされ、受賞された各氏に賞状、記念品(小島三郎記念技術賞:記念盾、福見秀雄賞:記念メダル)及び副賞が贈呈されました。
小島三郎記念技術賞受賞者 :
写真左より 奥宮敏可氏、亀子光明氏、曽根美智子氏、永沢善三氏、日高宏哉氏、宮西節子氏
贈呈後、小島三郎記念技術賞受賞者を代表して宮西節子氏(財団法人 天理よろづ相談所医学研究所 主任臨床検査技師)が挨拶され「本日、小島三郎記念技術賞の受賞者代表として、財団法人黒住医学研究振興財団、審査頂いた諸先生方並びに本日ご臨席の皆様方に深く御礼申し上げる。私が就職した当時は、まだ臨床検査が基礎研究に対し成果をあげるには難しい時代だったが、基礎研究の進展、技師教育の4年制への移行、大学院の設置など今や臨床検査技師も医学部や理学部出身者に勝るとも劣らない学力、アイデア、旺盛な探究心を持っている。私たち受賞者は、若手臨床検査技師が広い視野を持って国際的に活躍できる様、人材育成をし、今後もしっかりと研鑽を積んで研究に励みたいと考えている。」と受賞の喜びとこれからの抱負を述べられました。
また、福見秀雄賞受賞者を代表して挨拶された白石幸雄氏(学校法人 山陽女学園 山陽女子短期大学 臨床検査学科 准教授 兼 広報部長)は「私共は、ただ愚直に臨床検査の道を歩んできたが、福見秀雄賞の栄誉に浴することになり、この上もない名誉と感激している。臨床検査を取り巻く環境、医療経済、さらに臨床検査技師教育も、劇的に変化し2年制から始まり現在では大学院での教育と医学医療の発展に合わせ臨床検査技師教育も変化している。しかし、臨床検査データを正確、精密そして迅速に提供するという根本は変っていない。現在、臨床検査養成校で教壇に立たせて頂いて、基本を大切にする臨床検査技師を一人でも多く送り出したいと思っている。」と受賞の喜びを述べられました。
福見秀雄賞受賞者 : 写真左より 今村文章氏、白石幸雄氏、滝澤通氏、立脇憲一氏、廣瀬英治氏
また、特別講演として東京大学 理事 副学長の浅島誠先生による「再生医療の現状と将来」と題した講演がありました。先生のご専門は、「発生生物学」で、1989年に日本人として世界で初めて受精卵が様々な器官に分化するのを誘導する蛋白質「アクチビン」の存在を明らかにされ、この分野で世界的な業績を挙げられておられます。今回のご講演は、「アクチビン」を世界で初めて発見されるまでのご苦労話から、胞胚の上にある未分化細胞のアニマルキャップに「アクチビン」などを濃度を変えながら加え、神経、筋肉や心臓、腎臓など様々な器官を形成されることに成功され、夏休みになると高校生たちが研究室に来て、拍動する心臓を作り、自分の心臓はどの様に動くのかを知る事ができるというまさに生命の神秘ともいうべきお話をされました。
さらに、iPS細胞(人工多能性幹細胞)についても言及され、「この研究は今始まったばかりでこの細胞を基準化することが重要、これから地道な研究が必要で日々着実にやって行くことがこれからのこの研究の分野、再生医療あるいは医学というものを進めていく上では重要ではないか。そのために私たちは、本当に安全で確実なものかどうか基礎的なことを積み上げて臨床の方々にお渡したい。」と興味深いお話をしていただきました。
![]() 東京大学 理事 副学長 浅島誠先生 |
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贈呈式の閉会にあたり、栄研化学株式会社代表執行役会長黒住忠夫財団常務理事より受賞者へのお祝いのことばが述べられ「本日の受賞を契機に、さらにご活躍されて検査の進歩、発展にご尽力されることを心から祈念している。」と挨拶がありました。
贈呈式の後、受賞された先生方を囲んで、日本臨床衛生検査技師会小繁昭会長のお祝いの言葉と乾杯の音頭で祝賀会に移り、最後に元・日本臨床衛生検査技師会会長佐藤乙一氏より受賞者へ祝辞と小島三郎先生が「衛生検査技師」の名付け親であるなどの逸話をまじえた激励のことばを話していただき、和やかなうちに散会となりました。
(事務局 佐藤 貴司)
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