小島三郎記念技術賞・福見秀雄賞
2009年度
第44回小島三郎記念技術賞並びに第28回福見秀雄賞の贈呈式が、去る5月22日(金)午後2時より野口英世記念会館において開催されました。
式典は中谷林太郎財団理事長の開会の挨拶で始まり、同理事長より小島三郎先生、福見秀雄両先生の逸話を交えた略歴の紹介がされた後、選考経過の報告がされ、受賞された各氏に賞状、記念品(小島三郎記念技術賞:記念盾、福見秀雄賞:記念メダル)及び副賞が贈呈されました。
小島三郎記念技術賞受賞者 :
写真左より 大楠 清文氏、岡山 直子氏、小松 京子氏、小宮 智義氏、野島 順三氏
贈呈後、小島三郎記念技術賞受賞者を代表して小松京子氏(杏林大学医学部付属病院 病院病理部 技師長)が挨拶され「小島三郎記念技術賞の受賞者を代表して、財団法人黒住医学研究振興財団、ご審査頂いた先生方、ご推薦いただいた先生、ご指導いただいた上司の方々、並びに本日ご臨席の皆様方に心より御礼申し上げる。小島三郎記念技術賞は、我々臨床検査技師にとって大変栄誉のある最高の賞の一つである。
衛生検査技師法が制定されて以来、約50年経過し、臨床検査技師は少しずつ社会的地位を確立し、教育レベルも高度になってきている。私ども受賞者は、引き続き若い方々が目指す最高の賞となるよう、先進国での恵まれた環境に感謝し、検査技術の開発と国内外の後進の育成を役割と考え、心を新たに更なるステップアップを目指したい。」と受賞の喜びとこれからの抱負を述べられました。
また、福見秀雄賞受賞者を代表して挨拶された日野浦雄之氏(潤和会記念病院 診療部病理診断科 臨床検査技師 細胞検査士)は「私ども臨床検査に携わってきた者として、福見秀雄賞の栄誉に浴することは、この上ない名誉と誇りである。
私自身は、主として病理学・細胞学的検査に従事してきたが、その活動を通じて多くの指導者、またよき先輩、後輩、同僚にも恵まれ、さらに病理細胞診業務に真摯に取り組む仲間たちなど、志を同じくする多くの方々と交流させていただいたことが、今日のよき日につながったものと感謝している。」と受賞の喜びを述べられました。
福見秀雄賞受賞者 : 写真左より 上原 信夫氏、五内川 里子氏、清水 敏夫氏、鈴木 悦氏、日野浦 雄之氏
また、特別講演として国立感染症研究所 インフルエンザ研究センター長の田代眞人先生による「新型インフルエンザの危機対応」と題した講演がありました。
田代先生は、前日までジュネーブでWHOの対策会議にご出席でしたが、当日の朝会場へ駆けつけてくださいました。
今回のご講演は、「この新型インフルエンザは、地球レベルでの全く新しい危機管理の分野として対策を検討している最中に出現してきたブタのH1N1型の弱毒型ウイルスであり、秋口から冬にかけてのパンデミックに備え、その医薬品、ワクチンの使用量のバランスも地球規模で考える必要がある。また、2003年の後半から現在に至るまで世界的に流行し、全身感染症をひき起こす致死率が6割というH5N1型の強毒型鳥インフルエンザウイルスのことを忘れてはいけない。この最悪な鳥のインフルエンザウイルスが突然変異により、ヒト型の新型インフルエンザになる可能性、危険性が徐々に増してきている。新型インフルエンザは、『ウイルスによる全世界無差別テロ』であるとの最悪のシナリオを考えて、事前準備が不可欠である。」と、新型インフルエンザの世界での感染者が1万人を越え、日本でも関西地区から首都圏への広がりを見せ、感染者も300人に達しそうな時期での、まさに時宜にかなった講演でした。
![]() 国立感染症研究所 インフルエンザ研究センター長 田代眞人先生 |
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贈呈式の閉会にあたり、栄研化学株式会社取締役会長黒住忠夫財団常務理事より受賞者へのお祝いのことばが述べられ「過年度に研究助成金を受けられた方で、本日小島三郎記念技術賞を受賞された方がいらっしゃることを大変うれしく思っている。本日の受賞を契機に、ますます臨床検査の発展に貢献されることを心から祈念している。」と挨拶がありました。
贈呈式の後、受賞された先生方を囲んで、日本臨床衛生検査技師会小ア繁昭会長のお祝いの言葉と乾杯の音頭で祝賀会に移り、最後に元・日本臨床衛生検査技師会会長佐藤乙一氏より受賞者へ祝辞と激励のことばをいただき、和やかなうちに散会となりました。
(事務局 佐藤 貴司)
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