小島三郎記念技術賞・福見秀雄賞
2012年度
第47回小島三郎記念技術賞並びに第31回福見秀雄賞の贈呈式が、去る5月18日(金)午後2時より東京會舘において開催されました。
式典は中谷林太郎財団理事長の開会の挨拶で始まり、同理事長より小島三郎先生と黒住剛初代社長との運命的な出会い、福見秀雄先生との逸話を交えた略歴の紹介の後、選考経過の報告がされ、受賞された各氏に賞状、記念品(小島三郎記念技術賞:記念盾、福見秀雄賞:記念メダル)及び副賞が贈呈されました。
贈呈後、小島三郎記念技術賞受賞者を代表して伊瀬恵子氏(千葉大学医学部附属病院 検査部 主任臨床検査技師)が挨拶され「臨床検査分野においてこのような権威ある賞を受賞するに当たり身の引き締まる思いである。私が担当している一般検査は、最先端の研究などに携わるような華々しい分野ではないが、疑問点や問題点を改良していく姿勢と研究実績を評価していただいたものと感謝している。今後は、小島三郎記念技術賞の栄誉に恥じないよう、より一層の研鑽を積み、微力ながら後進の育成に尽力して参りたい。」と受賞の喜びとこれからの抱負を述べられました。
また、福見秀雄賞受賞者を代表して挨拶された原島典子氏(埼玉医科大学総合医療センター 中央検査部 技師長)は「この度大変名誉ある、また伝統のある賞を受賞したことは身に余る光栄であり、篤く御礼申し上げる。時代と共に高齢化に伴う医療費の増大により検査室のブランチ化や人員削減に苦慮した中にあって、新しい技術の開発や精度の向上に努め、後輩技師の育成にと日夜微力ながら力を注いで参ったことが、この度評価を受けたものと重ねて感謝申し上げる。この受賞を契機にさらに新しい学問や技術を学び、実践し伝えていくことにより一層の努力をしていきたい。」と受賞の喜びと今後への決意を述べられました。
特別講演として京都大学大学院 医学研究科微生物感染症学 教授の光山 正雄先生による「細胞内寄生菌の感染戦略と宿主応答研究における最近の進歩」と題した講演がありました。
先生のご専門は、「リステリア、結核菌などの細胞内寄生菌の病原性と宿主応答」で、永年細菌感染症の分野に携わられ、ご専門に関連して平成12年には当財団の「第35回小島三郎記念文化賞」を受賞されておられます。今回のご講演は、「細菌感染症における病原細菌のうち、我々宿主の発達した細胞内殺菌機構を有するマクロファージの中でも殺菌を免れて生存増殖が可能な“細胞内寄生菌”即ちリステリア、結核菌などがどの様にして細胞内で殺菌に抵抗して生き延び、それに対して宿主はどの様な免疫応答で対応するのかという、リステリアを中心とした病原細菌と宿主の防御機構との戦いのメカニズムについて」の最新情報を交えたご講演でした。
贈呈式の閉会にあたり、栄研化学株式会社取締役会長黒住忠夫財団常務理事より受賞者並びに家族の方々へのお祝いのことばが述べられ「受賞された先生方の平素のご努力が高く評価されて本日の受賞になった訳で、この受賞を契機に、さらに研究活動が進展され医療に貢献されることを心から祈念している。また本年は、小島三郎先生がご逝去されて50年の節目に当たり、さらに財団創立20周年を迎えるため、来る10月21日(日)にここ東京會舘で第48回小島三郎記念文化賞・第20回研究助成金の贈呈に併せて、記念講演会と記念祝賀会を計画しているので、ぜひご出席賜りたい。」と挨拶がありました。
贈呈式の後、受賞された先生方を囲んで、日本臨床衛生検査技師会 田鉄也会長のお祝いの言葉と乾杯の音頭で祝賀会に移り、最後に元日本臨床衛生検査技師会会長 下杉彰男氏より受賞者へ祝辞と激励のことばをいただき、和やかなうちに散会となりました。
(事務局 佐藤 貴司)