小島三郎記念技術賞・福見秀雄賞
2014年度
第49回小島三郎記念技術賞並びに第33回福見秀雄賞の贈呈式が、去る5月30日(金)午後2時より東京會舘において開催されました。
式典は中谷林太郎財団理事長がご欠席のため、理事長に代わり河合忠副理事長の開会の挨拶で始まり、同副理事長より選考経過の報告がされ、受賞された各氏に賞状、記念品(小島三郎記念技術賞:記念盾、福見秀雄賞:記念メダル)及び副賞が贈呈されました。
贈呈後、小島三郎記念技術賞受賞者を代表して上田一仁氏(市立芦屋病院臨床検査科 技師長)が挨拶され「本賞は、臨床検査・衛生検査の領域で大きな功績を残した先生方が受賞される大変権威のある賞であり、この場に私が立たせていただいていることはいまだ信じられない思いである。今回受賞対象となった私の仕事も多くの方々のサポートをいただいての成果である。今後は、今回の受賞をきっかけとしてより一層自己研鑽に努めるとともにより良い医療人の育成や臨床検査の進化・発展に微力ながら尽力していきたい。」と受賞の喜びとこれからの抱負を述べられました。また、福見秀雄賞受賞者を代表して挨拶された下村弘治氏(文京学院大学大学院保健医療科学研究科 教授)は「この度は、臨床検査技師にとり誠に名誉ある賞を受賞し身に余る光栄と感謝の気持ちでいっぱいである。私達が臨床検査の現場に入った当時は用手法の時代であったが、様々な臨床検査の成長の過程で多くの人と仕事あるいは勉強できたことは大変幸せなことと思う。近年、臨床検査業務も広がりを見せ、特に画像検査や遺伝子検査が発展してきた。また検査室を超えて専門的知識で活動するチーム医療への参画が求められている。この臨床検査領域における活動は次の世代に受け継がれさらに発展していくと思い、これからも後進の指導育成に関わっていきたい。」と受賞の喜びと今後への決意を述べられました。
特別講演としてJT生命誌研究館 顧問で、NPO法人 オール・アバウト・サイエンス・ジャパン(AASJ) 代表理事の西川伸一先生による「21世紀の医学を覗いてみる」と題した講演がありました。先生のご専門は「幹細胞研究」で、JT生命誌研究館では、核酸(DNA・RNA)という物質が、物質ではない情報という性質をいかに発生させたのかを理論的に研究されておられます。一方、NPO法人 オール・アバウト・サイエンス・ジャパン(AASJ)では、様々な患者さん団体と協力して、患者さんがもっと医療の前面で活躍する日本の医療体制の確立を目指しておられます。
今回のご講演は、過去の歴史を振り返りながら「21世紀は、第三次産業革命が興ることで
大きな変革が起こり、情報、エネルギー、生産の単位が個人や家族、或いはコミュニティーといった小さな単位に分散したpeer to peer(対等なもの同士間の)社会が来る。これを支える思想的基盤として生物学が重要な役割を果たし、ヒトゲノムがキーワードとなる文明が生まれると確信している。また21世紀の課題は、20世紀に出来なかった恐慌や格差のない社会を作ることである。」と夢のあるお話を交えた大変興味深いお話をしていただきました。
贈呈式の閉会にあたり、栄研化学株式会社取締役会長黒住忠夫財団常務理事より受賞者並びにご家族の方々へのお祝いのことばが述べられ「受賞された先生方の平素のご努力が高く評価されて本日の受賞になった訳で、この受賞を契機にさらに研究活動が発展され医療に貢献されることを祈念している。」と挨拶がありました。
贈呈式の後、受賞された先生方を囲んで、一般社団法人日本臨床衛生検査技師会常務理事で公益財団法人東京都臨床検査技師会下田勝二会長から受賞者へのお祝いと激励のことばをいただき、同氏による乾杯の音頭で祝賀会に移り、一般社団法人日本臨床衛生検査技師会下杉彰男元会長の中締めの挨拶で和やかなうちに散会となりました。
(事務局 佐藤 貴司)