小島三郎記念技術賞・福見秀雄賞
2015年度
第50回小島三郎記念技術賞並びに第34回福見秀雄賞の贈呈式が、去る6月5日(金)午後2時より銀行倶楽部(東京・丸の内)において開催されました。
式典は河合忠新理事長の開会の挨拶で始まり、同理事長より選考経過の報告がされ、受賞された各氏に賞状、記念品(小島三郎記念技術賞:記念盾、福見秀雄賞:記念メダル)及び副賞が贈呈されました。
贈呈後、小島三郎記念技術賞受賞者を代表して橋修氏(市川市リハビリテーション病院臨床検査科 科長)が挨拶され「私たちは臨床検査医学の向上を目指して少しでも貢献できるようにと微力を尽くして参ったが、その地道な努力を認めていただきこの様な栄誉を得たことは、これまで出会った方々のご指導、励ましの賜物と心から感謝している。私の専門は神経生理検査という分野で、日本衛生検査技師会の宮島会長が臨床生理検査の発展に対して甚大な理解を示していただいている事に心から感謝申し上げる。今回の受賞を励みに、臨床検査の発展と人材育成に尽力して参りたい。」と受賞の喜びとこれからの抱負を述べられました。また、福見秀雄賞受賞者を代表して挨拶された遠田栄一氏(社会福祉法人三井記念病院中央検査部 部長)は「臨床検査技師にとり大変名誉ある賞を受賞し身に余る光栄であり、心より厚く御礼を申し上げるとともに、受賞者一同を代表して一言お礼のご挨拶を申し上げたい。私達が臨床検査技師として業務を始めた頃は、臨床検査の成長期に当たり用手法から自動分析装置に代わる頃で、その時期に私は超音波検査を始めて有志とともに現在の超音波検査学会を発足し、検査の普及と精度向上に努めて来た。この栄誉を励みとして、今後も患者の痛みや気持ちを理解し臨床検査の専門家としての責任と誇りを持った後進の指導・育成に努力を重ねて参りたい。」と受賞の喜びと今後への決意を述べられました。
特別講演として国立感染症研究所 前所長で、本財団 副理事長に就任された渡邉治雄先生による「感染症の世界的動向」と題した講演がありました。先生のご専門は「細菌学、細菌の宿主細胞との相互作用、新興感染症、細菌感染症の分子疫学及び迅速診断法の開発」で、永年細菌感染症、特に腸内細菌の病原性の分子機序を分子遺伝学的に解析する研究に携わり、公衆衛生学分野に多大の貢献をされ、ご専門に関連して平成17年には本財団の「第41回小島三郎記念文化賞」を受賞されておられます。
今回のご講演は、「1980年に天然痘の撲滅宣言がWHOで出されたが、今世界中で撲滅されたのはこの天然痘のウイルスだけで、他の疾患については撲滅にまでは至っていないのが現状である。1970年代後半から1980年代にかけていわゆる新興感染症という概念でエイズがあり、プリオン病、O-157等が出てきて、記憶に新しいものでは、SARS、新型N1H1鳥インフルエンザ、エボラ出血熱、韓国でのMERSの発生、そしていま大きな話題は、カルバペネムといわれる抗菌薬に耐性菌が出てきて世界的に広がっているという問題である。感染症のコントロールとして多くの機関、厚労省、感染研、地方衛生研究所、保健所、大学等の連携で、異常な事が起こった場合、早期検知、迅速対応、予防・治療法の開発を行なって感染症の拡大阻止、健康被害の最小化を図り日本がまた世界が一致団結して行なう状況に現在なっている。」と時宜の得た大変興味深いお話をしていただきました。
贈呈式の閉会にあたり、黒住忠夫財団常務理事より受賞者並びにご家族の方々へのお祝いのことばが述べられ「受賞された先生方の常日頃積み重ねてこられましたご努力が高く評価されて本日の受賞になった訳で、この受賞を契機にさらに研究活動が進展され医療に貢献されることを祈念している。」と挨拶がありました。
贈呈式の後、受賞された先生方を囲んで、一般社団法人日本臨床衛生検査技師会の横地常広専務理事から受賞者へのお祝いと激励のことばをいただき、同氏による乾杯の音頭で祝賀会に移り、一般社団法人日本臨床衛生検査技師会下杉彰男元会長の中締めの挨拶で和やかなうちに散会となりました。
(事務局 佐藤 貴司)