小島三郎記念技術賞・福見秀雄賞
2017年度
第52回小島三郎記念技術賞並びに第36回福見秀雄賞の贈呈式が、去る6月9日(金)午後2時より浜松町東京會舘(東京・浜松町)において開催されました。
式典は本年度より新たに就任された渡邉治雄新理事長の開会の挨拶で始まり、河野均也選考委員長より小島三郎記念技術賞の選考経過報告が、また、猪狩淳選考委員長より福見秀雄賞の選考経過報告がなされ、受賞された各氏に賞状、記念品(小島三郎記念技術賞:記念盾、福見秀雄賞:記念メダル)及び副賞が贈呈されました。
贈呈後、小島三郎記念技術賞受賞者を代表して長沢光章氏(国際医療福祉大学成田保健医療学部医学検査学科 教授)が挨拶され、「私たちがこの権威ある賞をいただき、臨床検査技師の師と仰ぎ、目標として背中を追ってきた先生方のあとに名前を刻めたことは、この上のない喜びであり、過去にこの賞を受賞した先生方からの多くの祝福メッセージをいただき、嬉しさともの引き締まる思いである。今回の受賞を糧に、さらなる自己研鑽や臨床検査に対する愛情と情熱を持って、後輩技師が少しでも背中を追ってくれるよう努力する。」と受賞の喜びとこれからの抱負を述べられました。
また、福見秀雄賞受賞者を代表して挨拶された東克巳氏(杏林大学保健学部臨床検査技術学科 教授)は「今までを振り返ってみると、自分自身は特別なことは何もしていなく、いろいろな先生方に支えられ、また家族の応援があったからこそ、一心に仕事に打ち込むことが出来たと感謝している。いろいろご支援をいただいた多くの方への感謝と、巡り会ったよき仲間の代表として受賞させていただいた。今後も微力ではあるが、引き続き後進の指導・育成に努めたい。」と受賞の喜びと今後への決意を述べられました。
特別講演として神奈川県衛生研究所 所長の崎智彦先生による「蚊媒介性感染症〜現状と対策〜」と題した講演がありました。先生は、デングウイルス、日本脳炎ウイルスなど昆虫が媒介するウイルス感染症を専門とする感染症のエキスパートです。今回の講演は、記憶にも新しい代々木公園を中心に国内で発生したデング熱等、蚊が媒介する感染症のお話でした。デング熱、ジカ熱、チクングニア熱というウイルス感染症の媒介蚊としてヒトスジシマカとネッタイシマカなどがおり、その発生源や分布、デング熱の研究の歴史や現状、または、これらの感染症の症状の違いなど詳しくお話をしていただきました。これら三つの感染症を臨床的に鑑別することは非常に難しく、検査は急性期であれば遺伝子検査、少し治まっていれば抗体検査をするということで、ウイルス検査だけでなく抗体検査も非常に重要な疾患である。媒介蚊の駆除は、発生源の小さな水溜りや雨水がたまるペットボトルや空き缶などを放置しないことや草刈などで、是非この時期にやっていただきたいとのことでした。
贈呈式の閉会にあたり、黒住忠夫財団常務理事より受賞者並びにご家族の方々へのお祝いのことばが述べられ「受賞された先生方の平素のご努力が高く評価されて本日の受賞になった訳で、この受賞を契機にさらに研究活動が発展され医療に貢献されることを祈念している。」と挨拶がありました。また、本年度は財団創立25周年にあたるため、研究助成金を増額し、1500万円に、さらに本年度のみではあるが創立25周年記念特別研究助成金として臨床検査・微生物検査の標準化に取り組む団体に助成するとの報告がありました。
贈呈式の後、受賞された先生方を囲んで、一般社団法人日本臨床衛生検査技師会の宮島喜文会長から受賞者へのお祝いと激励のことばをいただき、同氏による乾杯の音頭で祝賀会に移り、一般社団法人日本臨床衛生検査技師会 下杉彰男元会長の中締めの挨拶で和やかなうちに散会となりました。
(事務局 小澤 宏和)