小島三郎記念技術賞・福見秀雄賞
2019年度
第54回小島三郎記念技術賞並びに第38回福見秀雄賞の贈呈式が、去る6月14日(金)午後2時より東京會舘本館(東京・千代田区)において開催されました。
式典は渡邉治雄理事長の開会の挨拶で始まり、水口國雄選考委員長より小島三郎記念技術賞の選考経過報告が、また、猪狩淳選考委員長より福見秀雄賞の選考経過報告がなされ、受賞された各氏に賞状、記念品(小島三郎記念技術賞:記念盾、福見秀雄賞:記念メダル)及び副賞が贈呈されました。
贈呈後、小島三郎記念技術賞受賞者を代表して三島 清司氏(島根大学医学部附属病院検査部 臨床検査技師長)が挨拶され、「私共3名は、この歴史と権威ある賞に名を刻めたことはこの上ない喜びであり、名誉なことである。私は、その時代の検査機器を如何に効率よく利用し、検査の標準化、精度向上に繋げていくかということに力を注いできた。今回の受賞は地味で道のりの長い標準化活動に光を当てていただいたと思っている。血液検査の標準化は道半ばであるが、今後も微力ながらライフワークとして取り組んでいく所存である。」と受賞の喜びとこれからの抱負を述べられました。
また、福見秀雄賞受賞者を代表して挨拶された森嶋 祥之氏(前近畿大学医学部附属病院薬剤部 薬局長)は「大変栄誉ある賞をいただき,誠に光栄であり、関係者の皆様にはこの場をお借りして、厚く御礼申し上げたい。私は特に検査技師の社会的地位を上げたいということで技師会活動に入り、技師会活動に邁進した。近畿の多くの検査技師に関して、国際医療協力という重要性を啓発できたことが非常に良い思い出になっている。また、この令和の時代には、発想を変えて検査技師のあり方も大きく変える必要があるのではないか、変わるような取り組みをしてもらいたい。」と受賞の喜びと今後の思いを述べられました。
特別講演として、国立研究開発法人国立がん研究センター研究所 基盤的臨床開発研究コアセンター(FIOC) センター長の市川仁先生による「がんゲノム医療のためのNGSパネル検査開発」と題した講演がありました。先生は、「臨床ゲノム検査の確立」、「肉腫・白血病の治療標的/バイオマーカー探索」等を研究テーマとされております。
今回のご講演は、昨年の12月にがんゲノム医療のためのがん遺伝子パネル検査が薬事承認され、この6月1日から保健医療として保健収載された遺伝子パネル検査です。承認された二つの遺伝子パネル検査のうちの一つが、先生方のチームが開発されたもので、今一番ホットな話題です。お話しは先ず、がんゲノム医療というものがどんなものかということを簡単に紹介して頂いた後、がんゲノム医療への使用目的であるゲノム情報に基づいた治療開発がどの様に行なわれてきたのか、そして実際に医療に使われる遺伝子パネルの開発をどの様に行なってきたのか、また、それを臨床的な有用性を調べる時のTOP-GEAR研究など大変興味深いお話をしていただきました。
贈呈式の閉会にあたり、黒住忠夫財団理事より受賞者並びにご家族の方々へのお祝いのことばが述べられ、「受賞された先生方の平素のご努力が高く評価されて本日の受賞になった訳で、この受賞を契機にさらに研究活動が発展され医療に貢献されることを祈念している。」と挨拶がありました。
贈呈式の後、受賞された先生方を囲んで、一般社団法人日本臨床衛生検査技師会 長沢光章副会長から受賞者へのお祝いと激励のことばをいただき、同氏による乾杯の音頭で祝賀会に移り、一般社団法人日本臨床衛生検査技師会 下杉彰男元会長の中締めの挨拶で和やかなうちに散会となりました。
(事務局 小澤 宏和)